精神疾患の区別をするためには 


   アメリカ精神医学会の定めた、精神科医が患者の精神医学的問題を診断する際の指針を示した「精神障害の診断と統計の手引き」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,略してDSMという)によれば、DSMにおいては、各疾患においてA・B・Cの診断基準が示され、「AからCの全てが当てはまる場合」その精神疾患であると診断される。
   A・B基準は具体的な病像が列挙されるが、C基準は「その症状が原因で職業・学業・家庭生活に支障を来している」となっている。 C基準が無ければ、世間の誰もがDSMに挙げられたいずれか の精神疾患の基準を満たしてしまうからである。特に人格障害においてはその傾向が強い。

  本書には、 「DSM-IVは、臨床的、教育的、研究的状況で使用されるよう作成された精神疾患の分類である。診断カテゴリー、基準、解説の記述は、診断に関する適切な臨床研修と経験を持つ人によって使用されることを想定している。重要な事は、研修を受けていない人にDSM-IVが機械的に用いられてはならない事である
  。DSM-IVに取り入れられた各診断基準は指針として用いられるが、それは臨床的判断によって生かされるものであり、料理の本のように使われるものではない。」と書かれており、非専門家による使用を禁じている。

  また近代精神分析学や近代精神医学が 分類・診断を始めたことで、それまでは個性や属性の一つと捉えられていたものが、疾病や障害や症状とされ、治療の対象にされるようになった。あくまでも症状、あるいは患者との問診で診断が行われているため、例えば手引きを読んで症状を偽られられると仮病との区別がつかないと言う意味では科学的な根拠は怪しいとの批判が存在する。また、近年の目覚しい脳解析学や脳神経科学等の進展により、精神科医によるDSMを基準とした問診による診断が時代遅れになりつつあるとの主張も存在する。

  日米で精神科医による精神鑑定結果や診断名が異なることは往々にしてあり、誤診や患者の詐病もあることなどから、日本においては精神科での診断を問診から脳科学的な客観的根拠を持たせるように切り替えようと各大学や研究機関で研究が始まっている(2005年5月30日朝日新聞朝刊「進化する画像診断 心の病画像で探知」)。
  ただし脳解析学や脳神 経科学等はいまだに初期の段階であり脳内の物理現象がどのように心理的現象として具現化するか、因果関係はいまだはっきりしていないことが多いのである。
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