転換性ヒステリーの恐ろしさ 


   転換性障害は、従来は転換性ヒステリーとも呼ばれていた。
  転換性ヒステリーでは、身体症状が主体だが、もうろう状態、記憶障害(健忘)、痴呆様状態、二重人格などの精神症状がみられるものは解離型ヒステリーと呼ばれる。転換型ヒステリーと解離型ヒステリーとをあわせたものが医学的な意味でのヒステリーなのである。

   DSM-Ⅲからヒステリーという診断名が削除され、従来の解離型ヒステリーは解離性障害とされ、転換型ヒステリーは、身体表現性障害の下位分類のうち、身体化障害、転換性障害、身体表現性(心因性)疼痛障害などとして分割された。
  なお身体表現性障害とは、身体疾患を疑わせる身体症状を訴えるもの、その症状を説明できるだけの身体的疾患ないしうつ病などの精神的疾患が認められない症候群の総称として命名された。ここに身体表現性障害だけでなく、転換性障害も誕生した。
  これ以降、臨床の場でもヒステリーという診断名が使用される機会がだんだんと少なくなってきている。

  転換性障害でみられる身体症状を転換症状と呼び、転換症状は主として随意運動障害、あるいは感覚障害として現れる。運動麻痺はいずれも神経学、生理学、解剖学的法則に従わないことが大きな特徴である。歩行障害も神経内科領域でみられる既知の身体疾患のパターンに一致しない。
  転換症状としてのけいれんは、てんかん発作としての発作型をとらず、四肢、頭部をでたらめにばたばたさせたりするなどして、てんかん発作でみられるような咬舌、転倒による打撲傷などはまれである。
  しかし、てんかんの大発作との鑑別が容易でない症例もある。 転換症状としての感覚麻痺は解剖学的な神経支配分布に一致しないことが特徴。管状、らせん状に視野が狭窄することもしばしばみられるが、これは視野検査時の暗示効果によるものともいわれる。

  卵巣痛、乳房痛、頭頂部の頭痛などはその部位を押すと激痛を訴えたりするもので、ヒステリー標識と呼ばれてきたが、これも診察時の暗示効果によると考えられている。
  疼痛は、転換症状としてもっともよくみられるもののひとつである。種々の部位にさまざまな疼痛が出現するが、痛みの性質が奇異で訴えが執拗に続くこともある。しかし疼痛症状は、他の転換症状に比べ、器質的な身体疾患によるものと鑑別が困難なことも少なくない。
  これらの転換症状に葛藤が象徴的に表現されているとみなせることもある。たとえば、失立・失歩が立ちたくない、歩きたくないことの表現であったり、盲目が現実を直視したくないことを表していたり、失声が話したくないことを周囲に抗議している姿であったりするわけである。そのため転換症状を葛藤が象徴化された身体言語(器官言語)とみなすこともできるわけである。
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

コンテンツ提供 by 介護の安心ガイド