不安がもたらすものについて考える 


  暗い夜道を1人で歩いた時や、外出先で「カギをかけ忘れて家を出てしまったのでは?」と思った時、大事な試験の前日などに、不安な気持ちになって心臓がドキドキしたり、冷や汗をかいたりした経験がある人は多いであろう。こうした対象や原因がはっきりした不安は、それが取り除かれると解消する。
  ところが、このような誰もが経験する不安と違い、対象や原因がはっきりせず、動悸、息切れ、めまい、発汗などの症状を伴う、日常生活に支障をきたすほどの強い不安が長期間続く場合は、『不安障害』と診断される。
   不安障害は、うつ病と並んで一般によく知られるようになってきたパニック障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、社会不安障害などの総称で、米国の調査によれば発病率が成人の約15%にも上るというポピュラーな病気である。
  以前は「神経症」または「不安神経症」と呼ばれていたが、最近は不安障害という病名が広く使われるようになってきた。
  不安は誰でも経験する感情の一種であるが、はっきりした原因がないのに不安が起こり(あるいは原因があっても、それと不釣り合いに強く不安が起こり)、いつまでも続くのが病的な不安である。不安神経症では、この病的な不安とそれに伴う身体症状が主症状となる。

  一般に、不安障害の原因は心理的な出来事(心因)とされており、不安神経症の場合も、何らかの精神的なショック、心配ごと、悩み、ストレスなど、精神的原因と思われる出来事のあることもあるが、まったくないこともある。過労、睡眠不足、風邪など、身体的な状況がきっかけになることもある。
  パニック障害では何のきっかけもなく突然発症するケースが多く、全般性不安障害では日常生活上のさまざまなストレスをきっかけに、いつのまにか発症しているというのが普通である。

  また、パニック障害患者に特別な性格傾向はみられないが、全般性不安障害はもともと神経質で不安をもちやすい性格の人に多い傾向がある。女性に多く、男性の倍以上といわれている。 慢性的な不安、過敏、緊張、落ち着きのなさ、イライラ、集中困難などの精神症状と、筋肉の緊張、首や肩のこり、頭痛・頭重(ずじゅう)、震え、動悸(どうき)、息苦しさ、めまい、頻尿(ひんにょう)、下痢、疲れやすい、不眠(寝つきが悪い、途中で目が覚める、眠りが浅い)などの多様な身体症状(いわゆる不定愁訴)がある。 何かにつけて過度の不安や心配がつきまとい、それが慢性的に続く(診断基準では6カ月以上)のが特徴で、不安に伴ういろいろな精神身体症状が現れる。

  多くの患者は身体症状のほうを強く自覚し、どこか体に重大な病気があるのではないかと考え、あちこちの病院で診察や検査を受けるのが常であるが、症状の原因になるような身体疾患はみられない。
  経過は慢性で、日常生活のストレスの影響を受け、よくなったり悪くなったりが続く。途中から、気分が沈んでうつ状態を伴ったり、うつ病に移行することもある。
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