自殺を防ぐことの重要性 


   自殺は、自ら自分の生命を絶つ行為である。死に至らなかった場合、自殺未遂ということがある。同義語として、自刃・自害・自決がある。

   国立精神・神経センター(厚生労働省)によると、世界的に自殺によって毎年全世界で約100万人が死亡しているとされ、世界疾病負担(the Global burden of diseases)の1.4%を占める。
   そして、自殺によって損なわれる経済的損失も数十億ドル規模にのぼる。WHOの自殺予防に関する特別専門家会議によると、自殺の原因は個人や社会に内在する多くの複雑な原因によって引き起こされるが、「自殺は予防できる事を知り、自殺手段の入手が自殺の最大の危険因子で、自殺を決定づける。」としている。

   自殺について一般に広く信じられていることは、事実とはかなり異なっている。まず、それらの誤解について説明する。

1.「『死ぬ・死ぬ』という人は本当は自殺しない」
   これはかなり広く信じられている誤解である。しかし、自殺した人の8割から9割は実際に行動に及ぶ前に何らかのサインを他人に送ったり、自殺するという意思をはっきりと言葉に出して誰かに伝えているのである。「救いを求める叫び」をきちんと受けとめられていなかったことが問題なのである。

2.「自殺の危険度が高い人は死ぬ覚悟が確固としている」
   実際に自殺の危険の高い人で100%覚悟が固まっていて周囲の人がそれに気が付いた時はもう遅いのだと信じられている。
   しかし実際には、自殺の前にまったく平静な人などはほとんどいない。むしろ、自殺の危険の高い人は「生」と「死」の間で心が激しく動揺しているのが普通である。絶望しきっていて死んでしまいたいという気持ちばかりではなく、生きたいという気持ちも同時に強いということである。私たちが本人の「生きたい」、「助けてほしい」という気持ちをどこまで汲み取れるかが自殺予防の鍵となるのである。

3.「未遂に終わった人は死ぬつもりなどなかった」
   この誤解は救急医療機関に勤める医療関係者にも見られる。本当に死ぬつもりがあったなら、確実な方法をとったはずだというのである。しかし実際には、自殺の危険の高い人でも、その心の中には「死にたい」という気持ちと「助けて欲しい」という気持ちの2つの相反する気持ちが揺れ動いているのであり、それが自殺行動にも反映されているのである。現実には、自殺未遂に及んだ人は、その後も同様の行動を繰り返して、結局は自殺によって生命を落としてしまう率が一般よりも高いという事実を忘れてはならないのである。

4.「自殺について話をすることは危険だ」
   自殺を話題にしたからといって、自殺の考えを植え付けることにはならない。
  自殺したいという絶望的な気持ちを打ち明ける人と打ち明けられる人の間に信頼関係が成り立っていて、救いを求める叫びを真剣に取り上げようとするならば、自殺について率直に語り合うほうがむしろ自殺の危険を減らすことになる。また、自殺について言葉で表現する機会を与えられることで、絶望感に圧倒された気持ちに対して、ある程度距離を置いて冷静に見ることが可能になるのである。

5.「自殺は突然起き、予測は不可能である」
   自殺が突然のように見える場合でも、実は自殺に至るまでには長い苦悩の道程があるのが普通である。一見最近の事件が原因のように見えても、それは引き金になっただけに過ぎないことが多いのである。一般に、自殺の動機は深刻で長期にわたる場合が多いのである。
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