健忘(もの忘れ)と関連する障害


   物忘れ(健忘:けんぼう)には「あれ、あの人だれだっけ?」、「買ってきた物をどこにしまったか忘れてしまった」といった日常的なものから、「朝ごはんを食べたかどうか思い出せない」、「自分の名前が分からない」といった深刻なものまで、症状の程度に幅がある。健忘の起きる背景には、多くの場合、脳の問題が考えられるが、心の病気でもしばしば見られる症状である。

   健忘性障害は、記憶が通常あるような物忘れとは異なるほどに失われ、社会的・職業的生活や日常生活に支障をきたすようになる状態をいい、アルコール乱用や頭部外傷などで起こることが多い病気である。
   健忘には、発病を境にして、それ以降の経験が記憶できなるなる「前向健忘」や、発病以前の記憶が想起できない「逆向健忘」、意図せずに記憶を補完してしまう「作話」、および記憶を間違って想起する「記憶錯誤」などがある。

   物忘れが起きた時は、どのようなトラブルが脳に起きたかを推測していく必要がある。以下のような事が重要な情報である。

1.記憶を失った時期
   脳がダメージを受けた後の事柄を思い出せないのか、それとも、それ以前の事柄を思い出せないのか。前者は前向性健忘と呼ばれ、後者は逆向性健忘と呼ばれる。例えば、アルコールを一気飲みして前後不覚になってしまい、その間の記憶が無いといった場合は、アルコールによる脳の一時的な機能低下が原因の前向性健忘である。
2.どんな記憶を無くしたのか
  
記憶を失った時期の記憶が全く無いのか、それとも、部分的に忘れてしまったのか。前者は全健忘と呼ばれ、後者は部分健忘と呼ばれる。例えば、頭部外傷後に自分に関する記憶だけを無くしてしまう記憶喪失が稀にあるが、これは部分健忘で、全生活史健忘と呼ばれている。
3.健忘の出現の仕方
   通常の加齢現象のように、長い時間を経て次第に健忘の程度が大きくなったのか、それとも急に物忘れが目立ってきたのか。例えば、頭部に腫瘍が発生した場合など、その腫瘍が大きくになるにつれ、物忘れの程度が大きくなることがある。
4.健忘の可逆性
   物忘れは一時的なものか、それとも、記憶がいつまでも戻らないのか。例えば、一時的に脳内の血流に循環障害が起きた場合、一時的にその間の記憶が無くなるが、循環障害が治まったら、また、記憶も回復するという一過性全健忘と呼ばれるものがある。

   以下に挙げるような状態や病気は脳の機能を一時的、または、永続的に低下させ、健忘の原因となり得る。
・頭部外傷
・脳炎
・脳血管障害(脳出血、脳梗塞)
・脳腫瘍
・てんかん
・代謝性の障害(尿毒症、低血糖など)
・栄養障害(ビタミンB1不足など)
・強いストレス、トラウマ
・アルコール、睡眠薬、法律で禁止されている薬物の使用
・うつ病
・認知症
   健忘の原因は以上のように様々であるが、物忘れ自体は日常生活に支障を及ぼさない限り、特に問題ではない。また、脳に不可逆的な傷害が無い限り、記憶が戻ることもあるのである。 問題となるケースは急に物忘れが出現したり、物忘れの程度が大きくなってきた場合である。脳に異常が起こっていないかどうか、早めに病院を受診して明らかにされるのが良いと思う。
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