HCMとは一体どんな病気か


  本症は、心臓への負担が増えていないにもかかわらず、心筋肥大による左心室の拡張障害が主体だ。
   拡張期が短縮することにより、心室に血液が充分に流れ込まなくなる。
   その結果、全身に流れる血液量が不足したり、心室→心房への逆流が起こることによりひいては肺水腫に至って呼吸困難を呈したりする。
   心房細動の合併が多い。

   出生時から存在する先天的なものと、後に生じる後天的なものがあり、先天的な肥大型心筋症は、親から受け継いだ遺伝子欠損が原因。
   後天的な肥大型心筋症は、良性の下垂体腫瘍などによって成長ホルモンが過剰分泌される先端巨大症や、ホルモンのエピネフリンが過剰分泌される褐色細胞腫などの病気によって起こる場合が考えられる。
   遺伝性疾患神経線維腫症も肥大型心筋症が起こる原因となることもある。
   症状は、左心不全症状、動悸、胸痛(胸心痛)、失神、二峰性脈などだ。
   症状の例として、失神を取り上げる。
   失神は普通、運動後に起こるが、これは心臓が脳へ十分な血液を供給できなくなるためである。

   例えば、不整脈やかたく肥厚した心室のために、心臓に血液が十分に満たされず心臓からの血流が妨げられると、十分な量の血液が供給できなくなる。
   運動後に失神が起こりやすいのは、運動中は心拍数が増えてより多くの血液が送り出され、ある程度は血流の障害を抑えているためだ。
   運動後は、心拍数が低下して送り出される血液の量が減少し、血流障害が生じる。
   検査所見では、
・聴診:胸骨左縁 第3、4肋間から心尖部を中心として、収縮期 駆出性雑音、IV音を聴取する。
・心電図:左室肥大、異常Q波、ST-T変化、巨大陰性T波(apical HCMの特徴)が見られる。ただし、HCMに特有の所見はなく、むしろ、自覚症状に乏しい割に、心電図上の変化が派手であることが、HCMの特徴と言える。
・心エコー:非対称性心室中隔肥厚(ASH)、僧帽弁前尖の収縮期前方運動(SAM)、大動脈弁の収縮中期 半閉鎖などが見られる。・心臓カテーテル検査:左室拡張末期圧(LVEDP)の上昇が特徴的である。左室流入路と流出路の収縮期圧較差(20mmHg以上)が認められる。
・病理学検査:肥大した心筋細胞が見られる。

これらの配列においては、樹枝状分枝や渦巻き状などの錯綜配列が特徴的だ。
   錯綜配列は、肥大した心室中隔を中心に分布。

   治療は、最大の問題である突然死の予防が最重点となる。
   過激な運動を避け、心筋の拡張能を改善するためと、心筋の負荷を軽減するために、β遮断薬を使う。
   しかし、喘息を合併している場合のようにβ遮断薬が禁忌の症例にはカルシウム拮抗剤などが用いる。
   大動脈弁狭窄や僧帽弁逆流が高度な場合には、心室中隔切除術などの外科的手術を行う。
   場合によっては突然死予防のため植え込み型除細動器が必要になる。
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