RCMとは一体どんな病気か

心室の収縮機能は正常だが左心室が硬く、拡張に問題がある。
この点では肥大型と似ているが肥大や拡大等が見られない点で異なる。
拘束型心筋症では、心室の拡張や肥大はなく心筋の収縮力も正常であるのに、心室が硬くて拡がりにくい状態(拡張不全)になっているのが特徴的。
新しい分類によると特発性拘束型心筋症のみがこの疾患に分類されるが、従来は様々な病気に伴って発症することがある。
原因不明の特発性拘束型心筋症についての若干の報告をまとめると、男女比はほぼ1:1、平均発症年齢は30歳後半。
原因不明(特発性)の場合はもとより、他の病気に伴って発症する場合、つまり二次性拘束型心筋症でも発病の機序はしばしば不明である。
症状は、軽症の場合は無症状のことがあるが、病気が進行すると心不全、不整脈、塞栓症などが起こる。
心不全症状としては、息切れや呼吸困難、動悸、全身倦怠感、手足や顔のむくみ(浮腫)が現れ、更に重症になると、黄疸、胸水、腹水などもみられる。
不整脈や、頻脈による胸部不快感や動悸を感じることがよくある。
また、心臓の内腔壁に血液の固まりである血栓が付着し、それが剥がれて末梢の血管に詰まることがあり、合併症として脳梗塞、腎梗塞、肺梗塞などが起こる。
治療法は、拘束型心筋症は収縮性心膜炎と臨床像がまぎらわしいことがあるが、治療法が異なるため専門医による鑑別診断が重要だ。
二次性拘束型心筋症の場合には、原因疾患の治療が原則だが、有効な治療法があるものは必ずしも多くない。
従って、対症療法として、心不全、不整脈および血栓・塞栓症の治療が大切である。
心不全の治療:この病気の主症状はうっ血性心不全であり、他の疾患による心不全患者の治療法ととくに大きく異なることはない。
ただし、本症の心不全の病態の特徴は拡張不全であり心臓の収縮能は保たれているため、治療薬の主流は利尿薬を使用する。
心不全に対してジギタリス剤を用いることもある。
不整脈の治療:拘束型心筋症では、脈の乱れ(不整脈とくに心房細動)がしばしばみられる。 この心房細動の出現によって、急激に症状が悪化することがあるため、抗不整脈薬を使って治療する。
薬だけでうまく治療できない場合には、心臓カテーテルによる電気生理学的な治療(房室結節焼灼術)と永久ペースメーカー植え込み術の併用を行うことがある。
血栓・塞栓症の予防:脳梗塞や心房細動があり、心臓のなかに血栓の形成が疑われる患者には、塞栓症の予防のために長期にわたる抗血小板療法や、ワーファリンによる抗凝固療法が必要である。
この病気はどういう経過をたどるのか:予後はその原因により様々であり、二次性拘束型心筋症のなかで、心アミロイドーシスの予後は非常に悪く、心異常が認められてから数年以内に亡くなることが多いとの報告がある。
特発性拘束型心筋症の自然歴は比較的長く、心不全状態が何年間も続く患者が多い。
しかし、中には心臓の機能が著しく低下し薬剤投与だけでは重症の心不全で死亡することがあり、心臓移植の適応となる症例もある。

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