心停止の一病態


  心室細動とは、心臓の心室が小刻みに震えて全身に血液を送ることができない状態で心停止の一病態である。
   心臓は電気刺激が順番に伝わることによって規則的に収縮し、血液を送り出すポンプの役目を果たすが、心室細動ではこの電気刺激がうまく伝わらず、心筋が非常に速くて無効な心室の収縮が致死的に生じる不整脈。

   心室は単に細かくふるえるだけで収縮していないため、即座に治療しなければ死に至る。
   心室細動の最も一般的な原因は、心臓発作の間に生じる冠動脈疾患による心筋への血流不足だ。
   心筋梗塞心臓弁膜症など心臓病の既往がある場合が多いが、急性心筋梗塞の初発症状であったり、その他の原因として、若年者ではブルガダ症候群やQT延長症候群など生まれつきの遺伝子異常が背景のこともある。

   心臓に異常がない人でも脱水や栄養障害、腎機能障害などによって血液中のカリウムが異常に少ない場合や異常に多い場合にQT延長が生じて発症することがある。
   小児では、キャッチボールなどでボールが胸部に当たってこの不整脈が誘発され(心臓震盪)、突然死の原因となることが指摘されて来ている。
   人体を用いての心臓マッサージ練習が固く禁じられているのはこのためである。正しいタイミングのところに余計な衝撃が加わるわけで、直ちに細動の原因になるのだ。

   症状は
・脈拍喪失
・無呼吸ないしあえぎ呼吸
・意識消失

   などがある。

   心室細動の状態にある心筋細胞は互いに互いを興奮させ合い、急速にエネルギー(アデノシン三リン酸)を消費している。この「興奮させ合い」を停止させるのが電気的除細動である。 しかし、心筋細胞がそのエネルギーを使い果たしてしまってからでは意味をなさない。
   そのため本症に於いては、一刻も早く電気的除細動を行い、調律性拍動を回復する必要がある。

   回復しない場合には心肺蘇生を行いながら繰り返し電気的・薬物的除細動を試みる。
   心拍が回復しなければ死に至る。カーラーの救命曲線では、心臓停止後約3分で50%が死亡する。
   心臓発作後の2・3時間以内に心室細動が起こった場合、患者にショックや心不全がみられなければ、ただちに除細動を行えば正常洞調律への回復率は95%で、予後も良好だ。

   ショックや心不全は、心室に重大な損傷があることを意味する。
   このような場合は、ただちに除細動を行っても、正常洞調律への回復率はわずかに30%で、蘇生された患者の70%が機能を回復することなく死亡している。
   心室細動からの回復に成功し、生存していても、再び発作を起こす危険性がある。
   心室細動が治療可能な病気により引き起こされている場合は、その病気を治療し、さもなければ、薬を投与して再発を予防するか、除細動器を外科的に埋めこみ、再発したら電気ショックを与えて正常洞調律に修正できるようにする。

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