オピオイドが人体へ与える影響 


   ケシの実から採った阿片が、強力な鎮痛作用を発揮することは古代から知られていた。それはモルヒネなどの鎮痛作用を有する物質を含有しているからである。モルヒネは神経にあるモルヒネ受容体(オピオイド受容体という)に結合して作用を発揮する。このオピオイド受容体に結合する化学物質をオピオイドという。

   オピオイド鎮痛薬は、いわゆるニュースなどで報道されている“乱用麻薬”とは全く別のものであり、経験のある医師の処方や指示にしたがって、正しく使用されれば、麻薬中毒になったり依存症になったりすることはありえない。残念なことに、日本には誤った知識をもつ医師も多く日本のがんの痛みの治療が欧米に比べて大きく遅れている原因の1つとなっている。
   オピオイド鎮痛薬は、鎮痛効果の違いによって、強オピオイドと弱オピオイドの2つに分けられ、強オピオイド鎮痛薬は、がんの痛みに対して最も強力な鎮痛効果があり、モルヒネがその代表である。最近では、モルヒネとは異なる新しいタイプのオピオイド鎮痛薬として、フェンタニルやオキシコドンが日本でも使用できるようになった。

   オピオイド鎮痛薬は、ほとんどが在宅でも問題なく使用できる。内服が難しい場合には、フェンタニルの貼り薬(3日に一度の貼り替えで効果が続く)や、モルヒネの坐薬などが一般的に使用されている。

   また、モルヒネの持続皮下注法(一定の速度で1日かけて皮下に薬を注入する)や、在宅で使用される点滴の中にモルヒネを入れて持続的に注入する方法を積極的に取り入れている施設もある。自分が受診している病院ではどの薬が使えるのか、主治医や薬剤師に相談しよう。

   日本人は総じて潔癖症が多く、麻薬を忌み嫌う。このことは決して悪いことではない。しかし麻薬による鎮痛を必要とする人までが嫌う傾向が強い上に、医師までが麻薬の処方を嫌がる。さらに日本の麻薬取り扱いの法的手続きが極めて煩雑なために、日本の医薬品としての麻薬使用量は非常に少ない。

   しかし一方では、そのために日本人には違法麻薬常習者が諸外国に比べて極めて少ないのは好ましいことである。だが、かつて世界保健機構(WHO)は日本の麻薬使用量の少なさに対し、もっと積極的に麻薬を使用して患者の鎮痛に対処するよう勧告を行ったことがある。

   必要以上に麻薬を忌み嫌うことはないというのが世界の考え方である。
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

コンテンツ提供 by 介護の安心ガイド