血流障害・脊髄動静脈奇形という疾病から身を守る


心臓からでた血液は動脈を通って、組織、臓器の毛細血管から静脈を介して心臓に戻ってくる。しかし、何らかの原因で途中の組織、臓器などを介することなく動脈が静脈に直接つながってしまうことがある。このような病態を動静脈奇形といい、脊髄に関わる動脈と静脈が直接吻合をしている病気を脊髄動静脈奇形という。

   脊髄では血流障害が生じることは稀であるが、その原因として最も多いのが脊髄動静脈奇形である。
   “無症候性脳梗塞”という言葉があるように、脳では血流障害が生じても症状を出さないこともある。しかし、神経が密集する脊髄の血流障害では殆どの場合症状を呈し、重篤になることも稀ではない。
   症状出現の機序としては①脊髄循環障害、②脊髄出血、③静脈瘤による脊髄の圧迫などがある。ヒトの動脈は壁が厚く動脈圧は正常で100~140mmHg程度で、一方、静脈は壁が薄く静脈圧は20mmHg程度である。動脈の圧は途中にある組織や臓器の毛細血管を通ることによって圧が緩衝され、静脈の圧へと下がる。

   脊髄動静脈奇形では直接動脈の圧が静脈に流れ込むため、壁の薄い静脈に高い圧が加わる。その結果、静脈が破れたり、静脈が風船のように膨らんだり(静脈瘤)する。また、静脈の圧が高くなると循環障害が出現する。川の流れに例えると、川の水も高いところから低いところへはスムーズに流れるが、高さの変化がない場所ではスムーズに流れなくなる。つまり、静脈の圧が上がり動脈との圧格差が小さくなると、血液もスムーズに流れなくなり循環障害をきたす。
   脊髄動静脈奇形はMRIで見つかることが多く、初期診断にはMRIが重要である。しかし、シャント部(動脈と静脈が吻合している部分をシャント部(短絡部)と言いう)など細かい血管の評価はMRIでは困難であり、最終診断には造影剤を用いた脊髄血管撮影(カテーテル検査)が必要である。治療はシャント部を閉塞し、動脈から静脈に直接血液が流れ込む状態を止めることである。

   その方法としては大きく分けると血管内塞栓術と外科手術治療がありる。血管内塞栓術は、太ももの付け根から細い管(カテーテル)を入れ、血管の中からシャント部を詰めていく。

   外科手術治療は、外科的手術でシャント部まで到達し、これを直接確認して切断する。これらの使い分けは、病変のタイプや関与している血管などにより変わり、これらの二つの方法を併用して行うこともある。

   脊髄髄内動静脈奇形のタイプは完治が非常に困難で、血管内塞栓術や外科手術などにより病変の一部を治療するにとどまっている。最近では放射線治療など新たな方法も行われてきているようである。

  
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