神経筋接合部の障害・重症筋無力症とはどんな病気?


   重症筋無力症とは、末梢神経が、筋肉に接合する部分(神経筋接合部)の異常により疲れやすくなったり、筋脱力が生じる疾患である。これらの易疲労性や筋脱力は休息によって回復する。病気が進めば筋力が低下する。症状は軽くなったり、悪化したりで日内変動を繰り返す。

   重症筋無力症の重症とは、ラテン語で筋力の低下が「重い、激しい」という意味だが、現在は治療によって8割以上の患者は何ら障害が無く、日常生活が出来る。全国で患者数は、5000~7000人程度と推定され、男女比は1対2と女性にやや多い傾向がある。発症は女性では20~30歳の若い人に多く、男性は50~60歳に多く発症している。
   神経筋接合部:運動するには、脳からの情報(刺激)が末梢神経を通って筋肉に伝わることが必要である。脳から末梢神経の末端までは電気信号(インパルス)として伝わる。末梢神経と筋肉の間にはシナップスと呼ばれる間隙があり、その間の情報伝達は神経末端(終板)より分泌されるアセチルコリン(Ach)という化学物質が筋側にあるAch受容体に結合して行われる。このように神経と筋肉の接する部分を神経筋接合部と呼ぶ。

  AchがAch受容体に結合すると筋線維が機械的に収縮する。主症状は、骨格筋の易疲労性で、繰り返し運動すると普通の人より筋力が疲れやすく、休息により改善する。一日のうちでも症状に変動が見られ、一般に午前中は比較的よいのだが、夕刻になると易疲労性が増し、筋脱力が強くなる。

   また、発現部位に障害度の差があるのも特徴である。まぶたが下がってくる、物が二重に見える(複視)、眼が上下左右に上手く動かない、眼が閉じない(兎眼)などの眼症状は必発である。食べ物を噛んだり飲み込むことが困難となり、発語も障害される。頭を持ち上げることができなくなることもある。

   躯幹に近い部位の症状が出現し易くなり、上肢を挙上することが困難に成ったり、歩行が左右に動揺することがある。まれに筋脱力が急激に悪化し、呼吸筋麻痺をきたして人工呼吸器による管理が必要になることがある。この状態をクリーゼと呼ぶ。
  治療法は、胸腺腫型、若年発症型では原則として発症より2~3年以内の早期に胸腺摘出を行う(拡大胸腺摘出術)。そして、副腎皮質ホルモンの大量投与を行う。血漿交換(免疫吸着)は、球症状を伴う症状の急性増悪時、クリーゼを生じた例、胸腺摘出の術前や術後、副腎皮質ホルモンが使用できない例などに対して短期間で全身状態の改善を必要とするときに行う。また、補助的に抗コリンエステラーゼ剤を使用することがある。
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