せん妄と痴呆の違い


   せん妄痴呆は、高齢化社会の進む日本でも非常に問題となっているものである。
   精神が正常な状態から逸脱してしまう原因として、せん妄と痴呆は筆頭にあげられるものだ。 まわりの人々とのコミュニケーション能力も失われてしまうため、健康な生活を営むことが難しくなる。

   さまざまな知識を自分のものとし、どんどん蓄えながら使いこなしていくことは、当たり前のように見えて複雑な作業である。
   脳の働きが安定していれば、知識の蓄積や利用は容易に行うことができる。
   また、他人とのコミュニケーションも程度の差こそあれ、問題になるほどレベルが低くなることはまずない。
   しかし、脳の働きが鈍くなってしまうと、今まで当たり前にできていたことが困難になるのだ。
   たとえば、70歳以降は一般的に言語能力が低下しやすくなる。
   また加齢の結果、脳の神経細胞は少なくなってしまうし、脳への流れ込む血液の流れも減ってしまう。

   血液の流れが滞れば、脳の神経細胞も影響を受けて減ってしまうのだ。
   そして、脳の働きも並行して鈍くなってしまう。
   こうした脳の変化は、せん妄と痴呆のような障害の引き金となるのだ。
   とはいえ、加齢によって引き起こされる脳の働きへのダメージと、シニア世代特有の病気からくるダメージとをきっちりとわけることはできない。
   せん妄も痴呆も、可能性としては若い世代に起こることも否定できない。
   しかし一般的には、シニア世代で起こりやすいものなのだ。
   せん妄と痴呆のやっかいなところは、それぞれ発症するだけでなく、同時に発症するケースもあることである。

   それなのに、一つの病気の別の症状ではなく、それぞれが異なる病気なのだ。
   たとえば、せん妄は予告もなくいきなり症状があらわれるものの、健康な状態に戻ることも期待できる。
   しかし、痴呆は少しずつ症状があらわれ、ゆっくりと悪化し続けるだけなのだ。
   さらにせん妄と痴呆は、決して似たような精神機能の障害を生じないことがわかっている。
   せん妄を発症した場合は、思考や注意に関する能力が衰えてしまうことが特徴だ。 痴呆はを発症した場合は、記憶喪失をともなうことが多く、あらゆる精神機能が正常な状態からはずれていってしまうのである。
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