肺膿瘍の実態 


   通常1人の患者にみられる肺膿瘍は1か所のみだが、数か所にみられる場合は肺の片方だけ発症するのが特徴である。不潔な針を使用し、薬物を注射する麻薬常習者には、感染が血流により肺に届き、両方の肺に多数の膿瘍が分布する状態がよく見られる。また、心臓の右内側の膜に心内膜炎という感染症を引き起こすことがある。

   ほとんどの膿瘍は、気道内部にて破裂し、大量の痰や咳とともに吐き出され、肺の内部に液体と空気で満たされた一定の領域ができる。大きい膿瘍が気道内で破裂することで、肺全体に膿が広がり、広範囲に肺炎と急性呼吸促迫症候群という病気になる。膿瘍は肺と胸壁を覆う2層の粘膜の間で破裂することもあり、その空間が膿で満たされる膿胸という症状になると、膿瘍が血管壁を破壊したのち、ひどい出血を起こし、死に至ることもある。
   肺膿瘍にかかると、疲労感、食欲不振、発汗、発熱、痰を伴う咳など肺炎に似た症状が起こります。口やのどの細菌から悪臭を放つ種類もあるため、痰に血が混じり、悪臭を帯びることもある。特に胸膜炎にかかった際は、呼吸時に胸に痛みがあることもある。数週間~数か月受診することなく、慢性膿瘍を起こしている人も少なくない。

   慢性膿瘍を起こすと、体重の減少、寝汗、日常的な発熱などの症状も見られる。たいてい胸部X線検査により肺膿瘍が診断されるが、X線検査で確定できない場合はCT検査を実施することもある。
   肺膿瘍への治療には、ほとんどの場合抗生物質の投与を行う。初期には静脈注射、症状が回復したら、経口投与により症状が消え、膿瘍の消失が確認できるまで、治療をつづけることが必要である。回復までには数週間~数か月の抗生物質による治療が必要になるため、膿瘍の排出を促すための体位ドレナージも同様行う。
   気道の閉塞が膿瘍または異物によるものと考えられる場合には、閉塞部分の状態を確認するために、気管支鏡検査を行うこともある。気管支鏡は、異物を除去する際、また抗生物質がきかない肺膿瘍の排出を容易にするためにも使用される。

   肺膿瘍の患者の約5パーセントは、胸壁を通し、膿瘍の内部へチューブを入れ、肺膿瘍の排出を促す治療や、感染した肺の組織や肺全部を手術により切除するなどの抗生物質以外の治療も必要になることがある。衰弱している人や、免疫機能が低下している人、肺癌などがある人は死亡率が高くなることがある。
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