アスベスト肺の症状と治療 


   アスベストにかかると、肺が広範囲にわたり、瘢痕化し、肺は弾力性を失う。はじめは息切れと運動能力の低下などの初期症状がみられ、慢性気管支炎のある喫煙者がアスベスト肺を併発すると、喘鳴やせきといった症状があらわれ、次第に呼吸が苦しくなり、約15パーセントの割合で、重度の息切れと呼吸不全が起こる。非癌性アスベスト胸水の患者は液体がたまるため、呼吸困難になり、胸膜プラークは胸壁を硬くするため、軽い呼吸困難を起こす。中皮腫では最も持続する胸痛や息切れが起こる。

   アスベスト肺になると、聴診器でパチパチという異常な水泡音が聞こえる。アスベストにさらされた経験があり、胸部X線検査、または胸部CT検査で特徴的な変化が認められると、アスベスト肺と診断される。アスベストを吸い込んだために起こす胸膜プラークはカルシウムを含むことが多いため、胸部X線検査やCT検査で簡単に見つけることができる。診断のために肺生検を行う必要があるのはまれなことである。
   X線で胸膜の腫瘍が見つかった場合、癌性か確認するために、胸膜の組織の1部を採取し、顕微鏡で調べる生検を行う。また胸腔穿刺術という肺の周囲の液体を針で抜きとり、癌細胞があるかどうか分析する方法もあるが、胸腔穿刺術は胸膜の針生検よりは正確ではないため、胸部X線検査で腫瘍の疑いがある場合は、その部分に初期の肺がんがある可能性があるとみて、検査をしっかり行う必要がある。

   アスベストを吸い込むことで起こす病気は、作業現場のアスベストの粉塵や繊維の量をできる限り減らすことで予防できる。アスベストを使用する工場が粉塵対策を改善したため、現在はアスベスト肺になる人は減少したものの、まだ中皮腫が発症している。居宅内のアスベストは、安全な除去技術にて取り除いてもらう必要がある。またアスベストを取り扱ってきた喫煙者は、肺がんのリスクを減らすために禁煙し、定期的に胸部X線検査を受けるよう指導される。

   アスベスト肺の治療はほとんどが症状の穏和で、息切れを軽減するための酸素吸入療法、また肺の周囲にたまった液体を取り除く胸腔穿刺術をすることで、呼吸は楽になる。また、肺移植でアスベスト肺を根治できることもある。一方、中皮腫は常に致死的で、患者のほとんどは診断されてから1~4年以内に死亡する。化学療法や放射線療法には十分な効果がないうえ、手術で腫瘍部分を取り除いても癌は治らない。そのため、できる限り高い生活の質を維持し、痛みや息切れを穏和することに重点が置かれることになる。
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