熱い国の原因不明の病気・熱帯スプルー

熱帯スプルーとは熱帯や亜熱帯地方で起こる原因不明の疾患。
小腸の内膜に異常が起き、吸収不良や様々な栄養素の欠乏を起こす。
熱帯スプルーは、主にカリブ海地方、南インド、東南アジアなどの地域でみられる。
現地住民も旅行者も発症するが、小児がかかることはまれだ。
感染症を示唆する証拠は見つかってはいるが、原因は不明だ。
典型的な症状は、便の色が薄くなる、慢性の下痢、体重減少などだ。
また、特定の栄養素の吸収不良からくる症状も起こる。
例えば、ビタミンB2が不足すると、舌がただれる。
血液凝固に重要なプロトロンビンが不足すると、怪我などの出血が長びき、痣ができやすくなる。
鉄やビタミンB12、葉酸が不足すると貧血や、疲労、脱力などが起こる。
この疾患がよく起こる地域の住民や、その地域に最近旅行した人で貧血と吸収不良の症状がある場合、熱帯スプルーと診断される。
小腸のX線画像検査では、異常がみられる場合と、みられない場合がある。
小腸の内視鏡生検では、いくつかの特徴がみられますが、それはこの病気特有の異常ではない。
便の検査を行い、寄生虫や細菌が原因ではないことを確認する。
熱帯スプルーの疑いがある場合、抗生物質で治療する。
テトラサイクリンあるいはオキシテトラサイクリンを数カ月間飲むことになる。
さらに、栄養素のサプリメントが、特に葉酸とビタミンB12が状況に応じて投与される。
通常はこれらの治療によって完全に回復する。

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