ATDSについて学ぶ 


   鼻カニューレや顔につけたマスクで酸素を補給しても酸素濃度の低下が改善しない場合や、さらに高濃度の酸素を吸入させる必要がある場合は、人工呼吸器を使用して、酸素の豊富な空気を供給する必要がある。
   急性呼吸促迫症候群の患者には、呼気時、吸気時ともに人工呼吸器で圧力をかけ、呼気時にはやや低い圧力をかける終呼気陽圧を行う。人工呼吸器がかけた圧力により呼吸中、また呼吸後に、潰れた肺の領域が再び広がり、損傷した肺の壁から血液中に酸素が取りこまれるようになる。

   弱い肺胞が破裂し、気胸を起こさないように、細い気道や肺胞を広げたままに保つ必要がある。そのために、濃縮した酸素を過剰吸入して、急性呼吸促迫症候群が悪化しないように、呼吸のたびに人工呼吸器が肺に供給する空気の圧力と容量を調節していかなければならない。
   鎮痛薬のミダゾラムなどにより、気分が落ち着き、息切れが軽減することがある。

   肺にたまった液体を取り除く為に、利尿薬が必要な場合もある。細菌性肺炎を発症した患者には抗生物質の投与が必要である。
   コルチステロイド薬の静脈内投与が、急性呼吸促迫症候群に対して、有効な場合がある。
   脱水症や栄養不良は、多臓器不全を起こす可能性を高めるため、チューブを使用した液体の栄養補給を行うなどの補助的な治療も重要である。この方法で十分な栄養が得られない患者には点滴が必要になることもある。

   急性呼吸促迫症候群にかかってから、早期に治療が行われないと体内の酸素濃度の低下により、90%が死に至る。ただし、適切な治療を行うことで、重症の急性呼吸促迫症候群の患者の約半数は助かる。
   治療効果がすぐにみられる患者は通常、肺に長期的な異常をほとんど残さずに完治する。長期にわたり人工呼吸器による治療を行った患者は、肺に瘢痕化を起こす可能性が高くなるが、この瘢痕化は人工呼吸器を外してから数カ月で改善することがある。
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